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2006年10月 2日 (月)

組織と個人の権利

2006年10月01日の一般紙に千葉大大学院の杉山和雄教授が、電機メーカーなどから技術指導などの名目で計約5600万円の報酬を得ており、これが大学の就業規則に抵触するとされ、杉山氏が辞表を提出したというニュースが出ていました。

 政治・経済および社会面ニュースについて普段触れることの無い私ですが、なぜここで触れるかというと、私の学生時代の先生であったからです。30年近い前ですから、当時はまだ助手でしたが、それでも橋梁デザインについては一家言があったらしいです。ただ私は工学部工業意匠科(当時)のメインストリームの工業デザイン専攻では無かったので、3年生までの通常授業しか受講しておらず、直接指導を受けたことは無く、人となりを詳しく理解してはおりません。しかし、もみあげとブルドッグのような短躯に満ちたエネルギッシュさから想像するところでは、助手時代から専門分野を持ちそれを貫いて学内政治の波もくぐり順風満帆の人生だったのではないでしょうか。私のようなふらふらした人生を歩んできた人間にとってはまぶしいばかりです。どこかでそういう自信が驕りに繋がってしまったのが、今回の事件だったのかもしれません。これ、敗者の僻みも入ってますけど(^_^.)

 さて一方、個人として独自のノウハウがあれば、他者の求めに応じてコンサルティングすることは理の当然であり、それに対する対価を要求するのも当たり前です。少なくとも民間のビジネス社会では、コンサルティング・ビジネス、ライツ・ビジネスと呼ばれている類の行為です。

 したがってここで問題になったのは、杉山教授が大学に無届けのまま、これらの行為を行い、しかもその対価に関する納税義務も回避していたということです。ですから表面的には杉山教授が一方的に悪いのですが、しかし教授がそういう方法論に走ってしまった背景には、もしかしたら学校側の規定に、まじめに申告すると副業を認めにくい仕組みが働いていた、ということはないでしょうか。そうです、青色ダイオードの件に近い話、組織内で働いて得たスキル&ノウハウは、個人業績として認めにくい・認めたがらない組織論理が働いていたのではないか、という疑問です。私は国立大学という機構にはまったく無縁ですので内情も知るすべはありませんが、もしも普遍的に組織が持つそういった力学のせいで、杉山教授が脱法行為に走ったのだとしたら、教育法人として税金を使っていた時代から独立行政法人になった間で、組織と個人がお互い暗黙のうちに手を握りコンプライアンスに眼をつぶっていた事柄が明るみに出てきたのだ、という可能性は無いのでしょうか。

 もちろんそんなこととはまったく関係なく、お医者と製薬会社の関係のように、単に学内の権威者が権力を笠に来て、民間に圧力をかけ金を無心していたのかもしれませんけれど。

 ちなみに杉山教授の作品には瀬戸大橋のほか、東京湾アクアラインなどが有ります。千葉大の工業デザインはこのほか、地下鉄や空港のサイン計画といった公共デザインの分野で独自の世界を確立したものがあり、東大や芸大など学校自体のレベルは高かろうが、インダストリアル・デザインを担っていない学校に比べると、ID分野における専門性は戦後一貫して日本一で有り続けて来ました。そういう自負もノブレス・オブレージュとして作用すればいいですが、既得権益を振りかざし覇権を主張するベクトルに向かうと、負の結果が現れてしまいますね。

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コメント

学校の先生って、売り時が有りますね。いまならユニバーサル・デザイン。百家争鳴、いづれも自身を本家家元と称するらしいです。そういう段階では、大手メーカーは様子眺めだそうです。

milk32+さん、まあ良くぞ写真見つけましたね。しかし本人はもっとあくの強い風貌で、モミアゲ・ブルドッグという感じ。

投稿 がらんどう | 2006年10月 5日 (木) 00時15分

私は畑違いなんでこの方をほとんど存じません。国立大学の先生には国家公務員法で一定の制限下で民間での仕事を兼業することは許されています。最近はこれが加速がついた感じで、なかば国策となっているようですね。
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/991130kengyo2.html

これ事態ははっきりいえば千葉大の内規に関することだといえますが、本業の大学での研究、講義に差し支えないという客観的事由があれば問題ないんじゃないかと思います。

もし報酬額がひっかかってだとすると、これは結構嫌な世界ですね。この先生は自前のコンサルとして独立したほうがいいかもしれません。

実は、兼業がらみで問題なのは「公」のほうです。ジェンフリというのは今やあちこちの自治体でも盛んですが、この自治体のやる講演会で、例えばこの分野の大御所、東京大学のU女史の一回の講演料は40万円以上、現地で一番高価な宿泊施設手配です。
また、このジェンフリとかのイベントって、売込みが支持団体とかから恫喝に近いのがあるそうです。

私は千葉の先生のほうが立派だと思いますね。きちんと対価が量れる取引行為ですから。

投稿 ゆずこせう | 2006年10月 4日 (水) 11時11分

どもmilk32+です。

杉山教授、がらんさんの印象って「若き日のお茶の水博士」を想像したけれど、ちょっと違った。
http://www.kajima.co.jp/news/digest/feb_2003/tokushu/image/toku03-06.jpg

千葉大一筋30ん年、名誉教授になって長生きして叙勲を待つ、という目論みだったのでしょうか。
叙勲対象となるポストに付くには、選挙に立つ時のような完璧な身辺整理が必要なようです。

私も2年程前、学生時代たむろしていた研究室の教授が個人情報関係で警察の事情聴取を受ける事件がありました。
その遠因は学内政治でした。地元に根を張った大学は、地元警察も味方になるようです。

青色ダイオードの中村氏の件は、研究者の処遇問題を提起したことは大きな功績だと思いますが、法的に勝てる戦いではありませんでした。

青色ダイオードのキーテクノロジを簡単に纏めると以下3点が重要である。
(1)窒化ガリウムという半導体の結晶薄膜を作る。
(2)窒化ガリウム半導体薄膜に不純物を適量浸潤させてp型またはn型の半導体に加工する。
(3)(1)(2)が大量生産に適する技術であること。

中村氏が争点にした404号特許(ツーフローMOCVD)は(1)の技術の特許の一つ(他方式の研究・特許あり)で(2)(3)には全く関与していない。中村氏が高裁の和解勧告を受け入れなかった場合、敗訴の確率が非常に高い。だから高裁の勧告に従ったと推測される。

日亜側から見た和解金の8億は、裁判期間中に中村氏が日亜フェローとしての青色ダイオード普及に努め、売上げ及びブランドの知名度を上げた事に対する報酬と退職金として考えれば、妥協点として適当である。(と解釈したと推測)。その後、日亜は該当特許を放棄して中村氏から起訴の根拠を封じてしまいました。

あー身も蓋もない話で相済みません。

投稿 milk32+ | 2006年10月 3日 (火) 11時59分

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