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2007年3月25日 (日)

気になる名脇役達(再録)

名優・名女優もいいですが、映画の楽しみのひとつに個性的な脇役をウォッチするというのも有ります。脇役一筋の方もいれば、今はチョイ役でもそのうち主役を食うまでになる人もいる。そういう俳優さんの中で、私の琴線に触れる人をすこしだけピックアップしました。もちろん、深い洞察と見識にもとずいた、などということは無く、ただただ表面的かつ思いつきの駄文でございます。

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ベニチオ・デル・トロ(上:ひどい顔ですね。本人はもう少しハンサムです)
    -ブラッド・ピットになり損ねたプエルト・リコ人-

 私が彼を知ったのは随分最近で、ブラッド・ピット客演のコーエン兄弟監督作「スナッチ」でした。こないだNTVの深夜「月曜映画」(これ、タイトルバックが丸尾末広という、恐ろしい番組。プロデューサー氏は、深夜枠なんで局の上にもスポンサーにも黙って確信犯的にやったんだな。えらい!)で見ました。すごかったのは、やっぱりブラッド・ピットの演技のほうで、パイキーと呼ばれるアイルランドのジプシー???を演じ、かつて「デビル」で酷評されたアイリッシュ訛を逆手に取った、何語かもはや不明な言語(シュメルジョウウシェーケウウンジョウルってな、噛みたばこを両方の頬に入れてしゃべってる風)で怪演でした。
 いっぽうデルトロは、ひたすら情けない泥棒役。フィルモグラフィーを見ると、テリー・ギリアム監督、ジョニー・デップ主演の怪作「
ラスベガスをやっつけろ」とかに出ていて、変な役者さんです。イタリア系かと思ったら(ダニー・アイエロとかに語感似てません?)、プエルト・リコ出身でした。さて、トロといえば寿司の王道ですが、この人はトロというより、「ベニショーガ・イカ・ゲソ」とか「ベニサケ・アニ・サキース」という感じですね。要は食えない(^_^;)。若い頃はブラッド・ピット風2枚目でいけそうな雰囲気もありましたが、歳とともにだんだん壊れて凶相になり、性格俳優&脇役が定番になりつつあるようです。

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ダニー・トレホ<悪役商会の売れっ子>

(上、おおクリソツやんけ。って、まあ写真のトレースが土台なんで、大幅に似てない訳は無いんですが、こういうマンガチックなお顔は似顔絵にしても外れないですね)。
 メキシコ系(多分)の凶相の俳優さん。悪役以外あり得ない、という御仁。ロバート・ロドリゲス監督の従兄弟だそうで、どうりで彼の映画で重用されてます。「フロム・ダスク・ティル・ドーン」の吸血酒場のマスター役が一番印象的でしょうか。「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」では、ジョニー・デップへのからみ方がちょっとシュールになっており、凶相だけの売りから、一皮剥けると面白そうですね。ハリウッド的ガイジン(アジア人やヒスパニック系など)の悪役俳優さんってけっこう定番のポジションが有るようですが、アクション映画など見ていても、数年くらい連続して出演していたような俳優さんが、とんと見かけなくなることが多い中(しかも名前なんて、見てる方は覚えないですし)、ダニーさんは頑張っています。 

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ランス・ヘンリクセン<ハリウッドの天本英世>

(上、絵が生硬ですいません。末期の胃ガンにかかったダーティ・ハリーみたいになっちゃった)。
エイリアン2のヒューマノイド・ビショップである。主役のリプリーが、タフではあるものの、知的でも精神構造が深そうでもない部分をビショップが補っていましたね。孤高の哲学者、無償の自己犠牲。もっとも第1作と異なり、第2作はジェームス・キャメロンというアクション映画職人が手がけたので、ほとんど宇宙海兵隊戦争映画ですが。このひと、出演作はSFが多いが、ジム・ジャームッシュの「デッドマン」など文芸?映画にも出ています。演技が巧いか下手かはこの人の場合、ほとんど問題ではなく、あの内省的な風貌と、ぼそぼそと寡黙な面持ちだけで絵になってしまいますね。和が日本の故・天本英世さんのハリウッド版とも思います。
 ヘンリクセンと言う苗字も、日本人から見たらは珍しい気がします。北欧系でしょうか。ジミ・ヘンドリックスとシー・ビクセンを足して割ったみたい(~o~)
 さらに話題がそれるんですが、ランスさん、「スクリーム3」という青春ホラー映画にも出てます。これの前編「スクリーム2」(ジェニファー・ラブ・ヒューイット主演)には、「死霊のしたたり」のハーヴァート・ウエストの役者(ジェフリー・コムズJeffrey Combsさんと言います)リゾートホテルのクローク役で出ていました。このシリーズ、こういう配役には気を配っていたんですね。コムズさんは、さらにスタートレックのアンドレア人(ららら無人君の元となった異星人)や、フェレンギ人のブラント、ヴォルタ人のウェイユンとか、ちょい役でテキトーに使われてます。  

 <追記>さるトリビアルな話題を扱ったサイトの情報では、アーノルド・シュワルツネッガー(現カリフォルニア州知事)主演の映画「ターミネーター」は、当初主演にランス・ヘンリクセンが予定されていたとか。なるほど、そう考えると、あの粗い粗いストーリーテリング、映像的にも「余り金かかってねーぞー」的雰囲気など、ヒットした割にはB級映画臭がぷんぷん臭って、どうも今までピンと来なかったんですが、コロンブスの卵発想でヘンリクセンが主演してれば、これはもう誰でも納得できる正真正銘のB級映画になっていた訳で(^_^;)、シュワちゃんが主演して、彼の個人的魅力でヒット映画にさせちゃったほうが、そもそも無理があったのですねえ。

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スティーブ・ブシエミ<歩く口>

上:に、似てない(-_-;)

 口から生まれてきたようなひと。常に早口で何かしゃべっている。その言葉に意味が有ろうが無かろうが、とにかくまるで脅迫神経症のように、熱病に浮かされたように、しゃべる。人の死なないマシンガンの連射。生粋のニューヨーカーないしはブルックリンそのもの。はじめてホール&オーツを聞いた時、ダリル・ホールの歌って、歌詞に書いてある文字と全く別物に聞こえるので驚いたもんでしたが、NY訛ってえのはこういうもんなのか?ブシェミとホールの訛は同じ部類ではなさそうですが、とにかく英語がネイティブでないと、何を言っているのかさっぱりわやです。
 アクターズ・スクールに学んだ正統派だったらしいのですが、なんせジャームッシュ監督作「ミステリー・トレイン」、コーエン兄弟監督作「バートン・フィンク」でじわじわ人気の後、タランティーノ監督作「レザボアドッグス」のミスター・ピンクでブレイクですから、まあ怪優と言わずして、ですねえ。アニメ「モンスターズ・インク」では、悪役ランドール・ボッグスを演じていました(ワゾウスキーはビリー・クリスタル)。
 と以上、ただただしゃべくりだけの関西人みたいな書きようをしましたが、このひとの魅力はそれに加えて、なんとも憎めない「かわいらしさ」にあります。ぜったい憎めないタイプ。うーん、キュート!   

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2007年3月18日 (日)

コラシアム初ライブ

1960年代 英国が誇る屈指のジャズロック・バンド、コラシアムがなんと結成40年近くたって2007年2月に初めて来日しました。

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 メンバーはリーダーでドラマーのジョン・ハイズマン、ギターはクレム・クレムソン、オルガンはデイヴ・グリーンスレイド、ベースはマーク・クラーク、ヴォーカルはクリス・ファーロウ。サックスは盟友デッィク・ヘクストール・スミスが惜しくも亡くなってしまったので、ハイズマンの奥さんでもあるバーバラ・トンプソンが代役でした。

 私はコラシアム命!というほどの大ファンではないのですが、大学生時代に新宿ディスク・ユニオンでファーロウの歌う「ライブ」の「ロスト・エンジェルズ」がBGMでかかっており、その迫力と一種の神がかり的な歌に異様な感動を覚えたのが最初の出会いでした。すでに1978年過ぎなのでコラシアム2もデビュー後、初代コラシアムは60年代のバンドですから相当の後追いでした。この曲の異常な圧迫感に匹敵する曲は英国ロックでは、クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンの「ファイア」しか無いと思います。

 それからずっと聞いていなかったのですが、2006年はなかなか暇が無く、こどもの受験が終わった直後の2007年2月のギグだったので行くことにしたのです。

 クラブ・チッタ、実ははじめて。小雨が降ってきた2/17でしたが、すぐに入れました。しばらく前のジェスロ・タルの場合、社用車やハイヤーで乗り付ける役員クラスの客も多かったですが、コラシアムはもっと前の21st Century Schizoid Band同様、男ばっかで女子比率が異常に低く、でぶ・はげ・髭のオヤジばかりという、暗~い暗~い客層でした。

 時代が21世紀のため、MIXIのコミュで情報が取れ、YOU TUBEで1990年代以降の再結成以降のライブ映像もあり、40年のギャップを埋める情報がけっこう密に集まりました。

 ステージが始まると、客席が一番沸いたのがクリス・ファーロウの登場。若い頃からラグビー体型みたいな人でしたが、70歳近くなると相当太ってもおり、派手なアロハのせいもあって「ちょい悪オヤジ」どころか「もろ悪オヤジ」という風体でした。しかしそれでも声は出る出る。若い頃からロッカーというより、ブルースシンガーというよりはエンゲルベルト・フンパーディンク風に朗々と歌い上げる人でしたが、いまも変わらず。ハードロッカーでシャウト系のヴォーカリストは年齢とともに声が出なくなりますが、ファ-ロウは基礎が違うのでしょう。

            Chris

  

 ハイズマンは旨い。超絶テク。いまどき珍しいドラムソロもあり。

 グリーンスレイドはとっても地味。ソロもあまり取らず。彼が一番ぎこちなかったですが、それは他のメンバーも大同小異。MIXIでコンサート後に知りましたが、90年代から再結成しているとはいえ、今回のギグが2年ぶり、しかも初めての日本だったのだそうです。それじゃあ、全員おそるおそるになるのもいたし方ないところ。残念だったのは、グリーンスレイドがヴィブラフォンを全く使用しなかったころでしょうか。「ライブ」での音色は心に沁みました。ヴィブラフォンを多様するロックバンドって、ほかにはジェントル・ジャイアントくらいしか存在しないので誠に惜しかった。

 ギターのクレム・クレムソン。短髪・銀縁眼鏡で、まるでどこかの大学教授みたい。3年ほどのコラシアムの活動後、もっとやんちゃなハンブル・パイに移籍して、ロッケンロールをばりばり弾いていた人とはとても思えません。古臭いながら的確な音を出していました。グリーンスレイドほど地味じゃないですが、ファーロウとのかけあいや、ソロの爆発はギグの相当後半になってからでした。

       Crem

 Bのマーク・クラーク。実に英国の労働者階級の顔してました。横幅は広くなったけど、髪の毛もたっぷりあって、一番現役時代と変わりないのがこの人。「イマジナリー・ウェスタン」かなんかでソロ・ヴォーカルをとったのですが、ものすごい声量があり、艶のあるいい声でした。コラシアム解散後、一瞬在籍したユーライア・ヒープも、あのコーラスワークはクラークがいたからこそ、という側面もあったかもしれません。

      Mark

 サックスはバーバラ・トンプソン。この人はイアン・カーなんかと同類で、生粋のジャスマン。ハイズマンとグリーンスレイド、故スミスがジャズロックの人、クレムソン、クラークがロックの人なら、トンプソンは一番純粋ジャズの人って感じでした。再結成後の曲等、ほとんど明るいビッグバンドジャズのスタンダードそのもの。しかし若い頃は超美人だっただけあって、おばあちゃんになっても魅力的でした。私は席が後ろのほうなので、皺はもちろん表情も分からないくらいでしたから、おもわず綺麗な若い女の子!と錯覚してしまう瞬間が有りました。エドガー・アラン・ポーの小説に「眼鏡」というのが有りますが、まさにそれを地でいくといったら良いか。

 基本的に「ライブ」の曲に再結成後の曲をまぜて進みました。ファーロウが大体曲名を言ってましたが、「ミスタ・ジョン・ハイズマン」といって割と距離感のある(お互いになんか遠慮慮が有るのjか、クィーンズイングリッシュでは普通なのか?)紹介の仕方で呼ぶと、ハイズマンが前に出てきてかなりしゃべります。まさにジャズのバンマスって感じ。いままで全然気にしていなかったのですが、彼のナレーションで知ったのですが、「イマジナリー・ウエスタン」(マウンテンの演奏のほうが有名)や「ロープラダー・トゥ・ザ・ムーン」の作曲はジャック・ブルースなんですね。ハイズマンはいまでもブルースに敬意を払っているのでしょうか?直接的にのめりこめず、ちょっとつかっかるようなコラシアムの雰囲気は、この2曲がブルース作曲によるためでもあった訳です。ブルースの曲ってそういう捻じ曲がり方が多いじゃないですか。

、やはり白眉は「ヴァレンタイン組曲」とアンコールの「ロスト・エンジェルス」でしした。この曲でファーロウ、クラークとのかけあいがあり、やっとこロック魂を見せてくれました。MIXIで知ったのですが二日目はもっともっとのっていたそうです。クレムはスモークオンザウォータやらレイラ、ホワイトルームのリフを演ったらしい。個人的には生「ロスト・エンジェルス」を聞けただけでももう大満足。

 曲目をMIXIのTaaさんヒアリングから転記させていただくと

--setlist 07/02/17--
1. Those About To Die
Member Introduction by Jon Hiseman
2. Theme For An Imaginary Western
3. Come Right Back
4. ~ Stormy Monday Blues
5. ~ Walking In The Park
6. The Valentyne Suite :
January Search
February's Valentyne
The Grass Is Always Greener
7. Rope Ladder To The Moon
8. No Pleasin'
9. Tomorow's Dream
(uncore)
10. Jon Hiseman's Drum Solo
11. Lost Angeles
でした。

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 ばか売れはしなかったけど、一生音楽を演って飯をくってきて、マニアには名の知れた存在である音楽職人さんたちの、真面目で暖かい雰囲気の良いコンサートだったと思います。多分彼らの生きている間にもう1回見ることは無いと思いますが、この晩のことは一生忘れないでしょう。そうそう帰りに、ピーター・バラカンさんを見かけました。50歳代前半のバラカン氏だと、60年代バンドはまさにどんぴしゃの同時代でしょう。モッズなんか聞いていた氏とすれば、若い頃は地味すぎて敬遠していたジャズロックをこの年になって、しかも異国の日本で聞く、といった感じだったのかな?いえ、これは私のあくまでも想像です。

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