働きマン
安野モヨコ原作のコミック「働きマン」がTVドラマ化されました。
これが面白い。
私はコミックに関しては、昔から好きな星野之宣、諸星大二郎および中一の愚息が読んでいる「ワンピース」「NARUTO」以外は、毎週読んでいる唯一の漫画雑誌「週間モーニング」連載のコミックしか、時代と連携できていません。女性漫画家などほとんど今の人を知らないのですが、安野モヨコの「働きマン」は、その数少ない例外。
連載開始から、この原作コミックも実に楽しく読んでいます。どこが面白いかというと、私ら男性には理解できない女性の心理が実に濃密に描かれているからです。テイストは全く違いますが、田口ランディの小説も女性心理の勉強には役立ちます。
さて、安野モヨコの原作で最も感心したのは、主人公が半径5メートルの世界観で生きていることが分かったことです。心理描写には長けた作者なので、じつに濃い心の移り変わりが描かれて共感できる部分も多かったのですが、しかし、舞台が男性週刊誌の編集部だということが相当後になるまで分かりませんでした。実感できないんですよ、風景が立ち上ってこない。もっといえば、上司のデスク、編集長、同僚、後輩、彼ら彼女らの心理がさっぱり分からない。もちろん彼らが主人公の半径5メートル以内に入ったときだけは、主人公側から見た心理は分かります。しかし彼らのポジショニング、あるいは主人公の編集部におけるポジショニング、つまり主人公がいったい何歳くらいで、編集部の中で順位はどこらへんの位置なのかはさっぱり分からない。
これがTVドラマになると、プロデューサーが男性か女性化は分かりませんが、ドラマの作法に従い、あるいあh名の知れた俳優さんが演じるためか、俯瞰的鳥瞰的視野が出てくるので、実に登場人物のポジショニング、つまり立ち位置がはっきり分かってきました。ドラマは逆にステレオタイプな模式図に堕してしまっている部分も散見されるのですが、それでも実に分かりやすい。まあ普通の男性サラリーマンの思考方法と同じですね。その座標上では、くさいとは分かっていても、中間管理職の私は部下の育成、上司との関係など、共感することもいっぱいあって、たかがドラマ相手につい涙腺hが弛むことすら有ります。
振り返ってコミック原作では、女性の心ってこんなに一つのテーマに対して深くコミットし、かつ半径5メートルの外はもはやポイント・オブ・ノーリターン状態(中世の世界観で、大洋をどんどん航海するとその先は大滝になっているという奴)だたtり、完全に霧の中にはいってしまうもんなんだなあ、ということが初めて分かりました。
えてして原作の映像化は原作を知っている人間にとってはたいてい失敗作に映るものですが、こと「働きマン」に限っては二度楽しめると思うのです。菅野美穂もいいですしね。
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